ハーゲンダッツとケーブルテレビ

木下百花

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祖母の家によく泊まりに行っていた。

母親と上手く付き合ってこれなかった私にとって、祖母の家の二階がオアシスだった。

 

小さい頃の実家は土壁でボロボロの借家だった。白アリとGの巣窟だったし、ムカデとかゲジゲジみたいなんが歩いてる細長い道を抜けた先に辿り着く玄関の扉は、子供のグーパンでも割れるような磨りガラスだった。(鍵もクルクル回して開けるやつ)

 

母の居る日は母の悪酔いや癇癪に付き合わなきゃいけないし、母の居ない日は、確実に出現する虫達に怯えて一夜を越さなければいけなかった。

 

祖母の家に何泊もしていた記憶がある。

 

母と祖母の関係性についてしっかり聞いたことは無いのだが、仲が悪かったのは察している。

私は祖母が好きだったけど、母がなぜ祖母と仲良くできなかったのかも何となくわかる。

 

母が祖母を突っぱねていたからなのか、なにかに散財していたのか、近いところに住んでいるのに祖母宅と実家ではあまりにも生活レベルが違っていた。

 

土壁の実家にあるのは冷やご飯かカップ麺で、祖母の家に行くとなんか良さげな絨毯とか敷いてあるし、冷凍庫にはいつも、ハーゲンダッツの店舗だけで買えるでかいのが常備されていて(今はもう無い)、私はそれをでかいスプーンで独り占めにして貪り食べていた。

それに加え、蟹入りコロッケとか、フルーツ入りサラダとか、でっかいチキンとか出てきたりもした。

 

祖母の二階にはケーブルテレビがあり、小さい頃は特に人との距離感が上手く調整出来なく、友人もろくに居なかった私は、日がな一日、カートゥーンネットワークやキッズステーション等を齧り付くように見ていた。

この頃見ていたものが今の自分への影響をかなり与えていると思う。

 

あの頃の私も、今の私も変わらず、自分の信じたものに関しては目を輝かせて没頭してしまう。

時間とか体力とか関係無く、いつまでも同じことを繰り返す事ができる。

あの頃欲しかったものはもう覚えてなくて、という事は、今それらが手に入れられてるって事なのかな、とか。そんなことをふと考えた。

 

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